2009-05-15

たんぽぽの風

たんぽぽ


昔、東京の中央線、吉祥寺駅でおこった人身事故のせいで、吉祥寺駅から電車が全く動かず、
一時間くらい駅のホームで待たされたことがある。

アナウンスは、電車に飛び込んだのは男性だと ジムテキに言っていた。

たしかたんぽぽみたいな、あったかい風がふく 今ぐらいの季節だったと思う。

数名の 係員がブルーシートで仕切られた電車の先頭あたりから、
担架に厚いビニールがかけられた状態の「何か」を そそくさと運び出していた。


遺体である。


飛び込んだのは男性のはずなのに、 その遺体の大きさは犬より小さい。


かつて、大声で笑い、誰かを愛し、その手で誰かを抱きしめただろう男の身体は
子犬ほどの大きさになって、ジムテキに 物のように運び出されていった。


死ぬほどの理由とはどれだけのものだったのだろう。


私は その生々しさに目をそむけてしまった。

しかし、遺体を気持ち悪いと思った私の隣では、
ベンチで 私と同じように電車を待っていた青年が、 そのビニールシート超しの遺体を眺めながら、ハンバーガーを食べていたのである。


多分というか、確実に、この青年にとって、彼の死は関係のないことなのだ。
電車がとまって困るなあと思うくらいの出来事か、今晩の飲み会のネタ程度だったのだ。

彼の死は、悲しくも悔しくもない。
だから遺体の目の前でハンバーガーだって平気で食べられるのだろう。

そして、それは基本的に私も同じことだった。
電車に乗れない以外は、私の生活には彼の死は関係のないことなのだ。

人一人が死んだって、
この地球は変わらずに青い空にそよ風を吹かせながら 明日も回ってゆき、
たいていの人には さほど影響がない。
であれば、
ひっそりと死を選ぶより、誰かに傷を残すくらいにどこまでも生きてやろうと思う。

そんなことをあの日強く感じたことを私は記憶している。


東京の事務所の社長のお母様が亡くなった。
社長のビジネスパートナー七田チャイルドアカデミーの七田眞さんも。
言葉では簡単に言えないが、私もかなりお世話になった方々だ。


彼らはどこまでも生きた 人だった。
かつて誰かにつけただろう傷の何倍も彼らは、私たちに優しさと愛を残してくれた。

私の生活は明日からも変わらない。
でも、変わらずにやってくる明日を 彼らのように精一杯生きたいと思う。

お二方のご冥福と、心を痛めておられる社長と娘さん、親族、友人の方々が
早く元気になりますよう、心をこめてお祈りします。

ありがとう。八重子さん、七田先生。

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きのこです。

ご冥福を心よりお祈りします。
私もこれからの子ども達や後輩に沢山の勇気と愛と冒険にあふれた地球を残せる様に精一杯生きて伝えて行きますよ。
社長さん、親族のみなさんが早く元気になりますように…。

きのこさん

いつもありがとう。いや、実際かなり凹みました。Mさんにも伝えておきます。ありがとう。
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